ハイドロキノンを100文字で解説すると?
ハイドロキノンはメラニン沈着を防ぐ「肌の漂白剤」
2001年から医師以外にも解禁されました
強力なぶん副作用リスクもあるので用法に注意、紫外線は厳禁!
変質しにくく刺激も穏やかな「安定型」も開発されています
メラニンの生成を防ぐ「お肌の漂白剤」だけど……?
ハイドロキノン (hydroquinone ヒドロキノンとも)とは、シミの原因であるメラニンを生成する酵素、チロシナーゼの活性や合成を抑える作用を持つ成分です。
つまり、メラニンの生成をジャマしてくれる、というわけです。
米国では化粧品・医療品として20年余りの歴史を持つ美白有用成分で、古くから一般的な美白剤として使用されてきました。
また、ハイドロキノンは予防だけではなく、すでに皮膚に沈着したメラニン色素にも作用するのが特徴で、お肌の漂白剤などとも呼ばれます。
皮膚科でもシミ治療に用いられており、実績十分な成分だと言えます。
と、いいところばかりに思えるハイドロキノンですが、2つ問題があります。
- 非常に酸化しやすく不安定な成分であること
- 赤みや腫れ、白斑などの副作用の心配
です。
ただし、長年多くの人に使用されて研究されている成分ですので、用法を守って使用すれば恐れすぎる必要はありません。
また、本来の「純ハイドロキノン」に対し、近年は安定度を高め刺激を抑えた「安定型ハイドロキノン(新型ハイドロキノン)」と呼ばれる成分も開発され、美白化粧品などに使用されています。
この「純ハイドロキノン」と「安定型ハイドロキノン」の違いについても解説していきます。
ハイドロキノン化粧品を使う際の注意点
まず、商品の説明書きにある使用法を守り、使用量も逸脱しないようにしましょう。
それは前提として、ハイドロキノン化粧品を使う際の注意点としては
- 新しく使う際はパッチテストを行なう
- 塗ったあとは紫外線を避ける
- 低品質なもの、劣化したものを使わない
ことです。
順番に見ていきましょう。
新しく使う際はパッチテストを行なう
ハイドロキノンは強い成分なため、人によっては(約6%とも)肌に合わずに赤みや腫れが出ることもあります。
初めてハイドロキノン化粧品を使う際や、今まで使っていたものよりも濃度の高いハイドロキノン化粧品を使う場合、
また新しいメーカーの商品を使う際も念の為、簡易的なパッチテストを行ないます。
- 絆創膏などのガーゼ部分にハイドロキノン化粧品を塗る
- 二の腕の内側に①の絆創膏を貼る
- 48時間以内に赤みやかぶれなどの異常がでないかチェックする
パッチテスト中は貼っている部分を水に濡らさないよう注意しましょう。
また、傷や湿疹など肌の異常のある部位には使用しないでください。
塗ったあとは紫外線を避ける
ハイドロキノン化粧品を使っていて最も注意すべきことは、使用した状態で紫外線を浴びることです
かえってシミが濃くなってしまう危険があります
特に配合濃度の高い化粧品は夜だけ使うようにし、翌朝しっかり洗い流し、紫外線対策をした上で外出しましょう。
朝使用する場合は必ずSPF20以上の日焼け止めを塗り、できるだけ途中でも塗り直すようにしましょう。
飲む日焼け止めを併用するのも効果的だと言われています。
低品質なもの、劣化したものを使わない
ハイドロキノンの副作用にはどんなものがある?
ハイドロキノンの副作用として報告されているのは赤み、腫れ、白斑(白い色抜け)、シミが濃くなる、炎症などがあります。
赤み、腫れに関してはパッチテストでチェックできます。
白斑は高濃度のものを長期間使用していると発生することがあるとされますが、5%程度のハイドロキノンを適切に使用している限りでは報告されていません。
シミが濃くなる、炎症はハイドロキノン使用中に強い紫外線を浴びたケースが大半です。
つまり、上で挙げた注意点を守り、用法を守って使っていれば、副作用のリスクを大きく下げることができます。
ハイドロキノンに発がん性があるってホント?
マウス・ラットを使った実験で発がん性が指摘されたため、ハイドロキノンに発がん性への懸念がある、と言われたことがありました。
ただ上記の実験は長期間(数十週)にあたり強制経口投与、または餌に混ぜて食べさせた実験のものであり、国際がん研究機関(IARC)の分類では
「グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない。」とされています。
マウスを使った実験においても、経皮投与(肌に塗る)においては409日間、週3回塗布しても「皮膚腫瘍に対するプロモーション作用は認められなかった」とされています。
IARC発がん性分類について 農林水産省
List of Classifications(分類リスト) IARC
「発がん性については、実験動物の場合、マウスへの経口投与により肝臓腫瘍、ラットへの経口投与により腎臓腫瘍の発生が認められたほか、二段階発がん性試験において肝臓、肺、腎臓腫瘍発生に対するプロモーション作用がみられている。一方、ヒトにおいては評価に値する報告例はなく、国際機関の発がん性評価としてIARCは、ヒドロキノンをグループ3(ヒトに対する発がん性については分類できない物質)に分類している。」
新エネルギー・産業技術総合開発機構「有害性評価書 ヒドロキノン」より
ただし、妊娠・授乳中は避けた方が◯
副作用のリスクは下げられるとは言え、まったく無害というわけではないですので、妊娠中、授乳中の使用は避けた方が良い、というのが多くの医療機関の見解です。
中には低濃度のものであれば使用しても構わないとするクリニックもあるそうですが、必ず確認して医師の指示に従いましょう。
純ハイドロキノンと安定型ハイドロキノン
ここまでお話してきた通り、ハイドロキノン(純ハイドロキノン)は非常に強力である一方、熱や光に弱く不安定な物質で、一次刺激性があります。
国内では2001年まで医師のもとでのみ処方されていました。
しかし2001年の薬事法改正により、メーカー責任のもと、美白用化粧品にも使用できるようになりました。
また、2005年に、ハイドロキノンをセタルコニウムクロリド(BCDAC)で守ることで酸化・変質しにくく、一次刺激性をなくした
「安定型ハイドロキノン(新型ハイドロキノン)」も開発されました。
特許第3513602号 「ハイドロキノンと界面活性剤の結晶性の分子錯体を含む美白剤」
東京工業大学 大橋 裕二
新潟薬科大学 飯村 菜穂子
作用の強さでは「純ハイドロキノン」の方が上ですが
「安定型ハイドロキノン」は刺激が少なく変質もしにくいため
安全に使用しやすく、美白化粧品に多く使われています
自分が使用する化粧品に配合されているのが「純ハイドロキノン」なのか「安定型ハイドロキノン」なのかもチェックしておくと、性質を把握しやすくなりますね。
美白のための大きな武器であるハイドロキノン。
用法と特性を理解した上で、活用してみてはいかがでしょうか。